脳性麻痺
脳性麻痺は、生まれる前後に脳になんらかのダメージが加わったことによる全般的な発達の遅れがでる症状です。 脳には手足を動かす神経があり、そこがダメージを受けると自由に動かすことが難しくなります。 自由に動かせないと、手足を使うことを忘れてしま…
四つ這いはぜったいにしないといけないのか? 運動発達には個別性があり、四つ這いせずに独歩を獲得するこどもがいます。それも少人数ではありません。 それならば、リハビリテーションにおいて四つ這いを経由して独歩を目指すことは必ずしも必要な運動では…
下肢の支持性とは、抗重力下で大腿骨、脛骨、腓骨、足根骨、中足骨、趾節骨のいずれかを基底面とした、それより近位の下肢関節に必要とされる荷重を受け安定させる機能といえます。 抗重力下において下肢の支持性は座位、四つ這い、立位、歩行や下肢の支持性…
運動学習を簡単に解説する。 細かいメカニズムや定義、強化学習や誤差修正学習、試行錯誤学習などの用語解説はしません。 運動学習について 運動を学習することは一言でいうと、「その運動を自分でイメージできるようになる」ことです。 ひとは新しい運動を…
「痙性で筋緊張が亢進し動かすのが難しい」「ストレッチしても硬くて動かすのが困難」「簡単に筋緊張を落とす方法はあるのか?」 筋緊張が高くて動かしにくい手足に対して、ストレッチをすることで、緩むことはできますが、それだけでは本当に緩んだとはいえ…
膝立ち 立位の前に膝立ちも評価ができます。膝立ち時間は何秒か、股関節の角度はどのくらいか。上肢帯の位置はどうなっているのか。 膝立ちで歩けるのか、歩けるなら何歩いけるのか、手引きは必要なのか。 片膝立ちは高度なバランスが要求される姿勢ですが、…
「上向かない!顎を引いて」「さあ膝を伸ばしてピシっと!」「お腹を使って身体を起こして!」 「そうそう!いいよ!それそれ!」 など、誰が得するのかわからないような言葉掛けで姿勢を正そうとしている場面をしばしば目にします。非常に残念です。 子ども…
脳性麻痺と診断されてから、この子の将来を考える中で、まず歩けるようになるのか不安になってきます。 もし歩くことができなかったら、、、歩けるようになるにはどうしたらいいのか、、、。 結論からいうと今は歩けるようになるのかどうかは誰にもわからな…
座位姿勢は日常生活では食事や整容などの基本的な生活動作や他者とのコミュニケーションや屋外での参加に必要な活動姿勢であり、休息姿勢でもあります。座位は様々な種類があり、正座、あぐら、長座、割り座、横座りなど多くの姿勢があります。支持基底面は…
筋緊張の評価方法で臨床的によく用いられるものにMASやMTSがあります。 MASは痙性の評価と非収縮要素も含めた評価にもなっています。MTSは速度依存性での評価となりより痙性の評価としてはMASより妥当性は高くなっています。 Modified Ashworth Scale(MAS) …
SMARTの法則に基づいた目標設定の仕方は、より具体的で明確な理学療法の目標を立てることができる。具体的な目標を上げるため目標に向けた課題とその問題点や治療戦略、効果判定まではっきりとさせることができる。 そもそもSMARTの法則とは何か アメリカの…
ptemon.hatenablog.com 今回は二次障害の中に痙性の増強と骨密度の低下をご紹介します 痙性増強の主な原因 痙性筋の伸張性低下に伴うもの 成長期の骨の成長に伴い痙性筋の相対的な短縮が引き起こされます。また運動機能低下や活動量低下に伴い関節運動が少な…
ptemon.hatenablog.com 硬くなりますよね、関節が。私たちも腰や肩、膝など硬くなったりします。それは加齢の影響もあると思いますが、高齢の方でも柔らかい方がいらっしゃると思えば、やはり運動習慣にしか他ならないですね。関節可動域は誰でも変化し得る…
理学療法において目標設定は大切です。目標がなければ治療はできませんし、何をするのかも明確になりません。でも目標を考えるのは難しいことでもあります。対象者の身体状況や予後、専門職のニーズ、対象者やそのご家族のニーズ、生活環境、リハビリの目的…
小児リハビリで使う歩行器は様々あります。いろんな人が学校や家で使っていますけど、街中で使う人はほとんど見かけないですね。もっと実用的に使えるものがあればいいのになーと漠然と思っています。 ちなみに多く使われているのがPCWやSRCウォーカーとよば…
「脳性麻痺の二次障害ってなに?」「二次障害の予防法はあるのか?」 小児リハビリテーションをする上で押さえておきたいのが二次障害です。対象者の将来像を予測するために二次障害にはどんなものがあるのか知っておくことが必要です。そしてほとんどの脳性…
「PEDIは実際どんなADL評価なのか」「PEDIでわかることは?」 小児のADL評価の一つにPEDIがあります。 PEDI:Pediatric Evaluation of Disability Inventory 子どもの能力低下評価法 概要 6か月から7.5歳までの子どもの日常生活上の特定のことができる能力と…
「側弯の原因や影響は?」「側弯はどうやったら生じるのか?」 側弯とは 脊柱が捻れながら側方にカーブし変形して行く状態です。形からCカーブやSカーブがあります。椎間関節面の形状から凹側に捻れるため凸側の背部の肋骨は膨隆し凹側の肋間は狭く可動性が…
「プロンボードに立たせるとどんな効果があるのか」「立つ力以外にもどんな効果があるのか」 立位台もしくはプロンボードと呼ばれる福祉用具はは前もたれで立位姿勢をとることができるものです。呼び方の違いはありますが、同じものととらえて問題ありません…
「GMFM66はどういうもの?」「予後予測もできると聞いたけどどうすればいいのか?」 脳性麻痺児の粗大運動の評価にGMFMがあります。 GMFM:Gross Motor Function Measure 粗大運動能力尺度 5つの領域にグループ分けされており88項目からなります。 A:臥位と…
「車いすにずっと座っていると腰や肩が痛い」「毎日腰を揉んでほしい」 ついつい腰痛や肩痛に対してマッサージを行いがちですが、長い間痛みや凝りと付き合っている方にとっては一時的に痛みにさよならできる瞬間であるため依存的になりがちです。 そもそも…
「リハビリの効果をどうやったら引き出せるのか」「そもそもリハビリは必要?」 こどものリハビリテーションは各専門職からこどもの状態をみて目標をたてながら進めていきます。そのリハビリ効果を高めていく方法を考えていきます。 リハビリ回数と運動学習 …
「装具はいつ履いたらいいの?」「装具を履くことでどんないいことがあるのか?」 脳性麻痺の装具で多く使われているのは短下肢装具だと思います。短下肢装具とは膝下までの長さの装具をいい、足関節の動きの制限や支持性を補ってくれます。 小さい頃から使…
「小児リハで筋緊張の評価は大切と感じているが、どんな評価方法を用いているのか」 筋緊張の評価って主観的な部分がほとんどですよね。臨床であればなおさらです。他のImpairment を問題点と明確にしているならもしかしたら筋緊張はたいして問題とならない…
「アテトーゼは難しいイメージ」「不随意運動をコントロールすることが難しい」 アテトーゼ型、最近ではジストニックタイプの脳性麻痺を指します。 アテトーゼに共通する機能的な問題点として不随意運動や同時収縮の欠如、筋緊張の変動、非対称姿勢や運動パ…
「痙直型の病態について教科書的には理解できるが結局なにが問題なのか?」 脳性麻痺において痙直型のタイプは臨床的に多いと思います。病態についても陽性兆候には上位運動ニューロン障害による同時収縮や痙性など。陰性兆候には筋力低下や易疲労性など言わ…
「動作観察は成人と一緒で大丈夫なの?」「子ども特有の観察の方法はあるの?」 小児リハビリは特別だとか難しいとか言われていますが、理学療法プロセス自体は成人と変わりはないです。もちろん動作観察、分析の考え方も変わりません。今回は子どもの動作観…
「GMFCSって子どもの状態を伝えるための手段?」「分類するだけ?臨床的にどのように使っていけばいいの?」 脳性麻痺児の評価の1つにGMFCSという評価法があります。 GMFCS GMFCS: gross motor function classification system 粗大運動能力分類システム …
「学校や家でできるストレッチが知りたい」「筋肉をどこまでストレッチしたらいいのかわからない」 脳性麻痺で痙直型と呼ばれるタイプは、筋緊張が高く常に収縮している状態が多いです。その状態が続くと筋肉は伸びにくく変化し、関節の動きが制限されます。…
「骨盤の動きが良くなった」「少し膝が伸びた」 しばらくすると、また元に戻る。まはリハビリでリセットする。これは関節の動きを維持することはできていますが、維持止まりでその先の運動の獲得につながっているとは思えません。特に就学期を迎えたお子さん…