四つ這いは絶対にしないといけないのか?
四つ這いはぜったいにしないといけないのか?
運動発達には個別性があり、四つ這いせずに独歩を獲得するこどもがいます。それも少人数ではありません。
それならば、リハビリテーションにおいて四つ這いを経由して独歩を目指すことは必ずしも必要な運動ではないのではと思います。
四つ這いをせずに独歩を獲得するこどもたちはどのような経過をたどってきたのか。
もともとうつ伏せが嫌いなお子さんが多く、いざりで移動を獲得しながら、つかまり立ち、伝い歩きと進んでいきます。
ほかには、ずり這いからつかまり立ちを多くとれる環境にいると、つかまり立ち、伝い歩きと進み、立位、歩行の獲得へと進んだりします。
身体の重さからも、四つ這い姿勢をとることが難しいこどももいます。
いずれにしても、独歩獲得していきますので、発達においてはさほど重要ではないと思います。
ではなぜ四つ這いをしたほうがいいと世間で言われ続けるのか。
手での支持が、手掌内在筋の発達に寄与し、肩甲骨を含め肩関節の安定性が得られ、巧緻性が向上する。
四点支持からの一側の上肢、下肢を挙上し、回旋するため、体幹のコアスタビリティがトレーニングされ、体幹の安定性が向上する。
股関節での荷重支持がうながされ、圧中心が変化する中で、姿勢制御能力が向上し、立位や歩行の安定性に寄与する。
これらの機能の発達がうながされたところで、最終的な独歩につながるかどうか。機能だけみるとつながります。
しかし、なんらかの運動障害があるこどもでも四つ這いが可能だが、独歩できない子もいるのが現状です。
なぜ四つ這いができて独歩ができないのか。一つは獲得時期による差があります。
GMFCSでは 2〜4歳までに四つ這いを獲得できれば、今後、独歩獲得の可能性が高いといわれています。
他の予後予測でも交互性の四つ這いが要素にあがっています。
これは脳の可塑性によるもので、どれだけ多様な運動経験ができたかが、その後の運動の獲得につながるということだと思います。
四つ這いの獲得が独歩獲得に影響している因子としては、股関節の安定性だと思います。人は膝立ちで歩けます。
ここで話を戻します。
四つ這いをしないまま独歩を獲得したこどもはなぜ独歩を獲得するのか。
四つ這いをしないこどもの発達の経過を追うと、必ず、つかまり立ち、伝い歩きを経験しています。
四つ這いは経験していないが、つかまり立ちや伝い歩きで手や足で支えることによって四つ這いの形の学習をしています。
このように四つ這いで得られる要素を立位で得ることができ、さらには独歩につながる経験をしているということになる。
なぜ四つ這いをしないのかは、現状解明されていませんが、必ずしも四つ這いをしないと歩くことができないというのは違うと思います。
リハビリテーションにおいて、早期から四つ這いの獲得は独歩の予後予測に関わってきます。しかし、四つ這いすることが難しいこどもに対して、
いやいやながらも四つ這いの練習に時間を費やし、立位や歩行の練習経験が少なくなると、どっちも獲得できない可能性があると思います。