脳性麻痺児者のリハビリ効果を高めるには
「リハビリの効果をどうやったら引き出せるのか」「そもそもリハビリは必要?」
こどものリハビリテーションは各専門職からこどもの状態をみて目標をたてながら進めていきます。そのリハビリ効果を高めていく方法を考えていきます。
リハビリ回数と運動学習
こどものリハビリテーションは入院以外の外来で月に数回だったりします。一回あたりの時間は1日24時間の中で数十分というわずかな時間です。
わずかな時間の中で何を目標にしてリハビリに取り組むか。運動を獲得する上で重要なのは回数をこなすことです。
サッカーボールを何千何万と蹴っているうちにリフティングは上手になっていきます。
このように運動学習を進めるには、高頻度の反復が必要になります。
ではこどもたちの数十分のリハビリのみで高頻度の反復は保証されているのか?また行われてきたのか?つまり高頻度の反復を得るにはリハビリ以外で練習することが必要だということです。そしてリハビリ数十分の中で何を重点的に時間を置くかがポイントになると思います。
筋力増強のために
筋力についても同様です。筋力は運動能力により変わってきます。立位ができないと下肢の筋力は弱いままです。座位ができないと体幹の筋力は弱いままです。歩く筋力は歩く中で鍛えられていきます。リハビリでほんの数分歩くだけでは歩く筋力は鍛えられません。
せっかく立位や座位ができるのにリハビリ以外で行わなかったら、筋力は鍛えられることなく弱いままになり、運動能力の向上は期待できません。
そのため、筋力を鍛えるにはリハビリ以外で立位や歩行などの機会を持つことが必要だということです。
関節可動域を改善させるには
リハビリでストレッチを行います。ストレッチはなぜ行うかというと、筋肉の過緊張を抑えて動きやすくすることや、筋の短縮を予防するためです。筋肉を伸ばすことはストレッチ以外でも可能です。
毎日対象となる関節を全範囲動かすことで拘縮予防は期待できます。それも自分の力で動かすことが必要です。
例えば肘の屈曲を伸ばすストレッチをリハビリで行っているとします。リハビリ以外で肘を自分の力で肘を伸ばすことを行わない限りまた肘は曲がってしまいます。
リハビリ以外で関節可動域を自らの力で動かす機会があれば、関節可動域改善の効果は得られやすくなります。
運動を獲得するには
リハビリで少しだけクラッチ歩行ができたとします。この能力を獲得させるには練習は不可欠です。まだリハビリ場面で専門職が見ている前でしかできないのであればリハビリ以外では難しそうです。
そのため安全に歩行トレーニングを行うために歩行器でたくさん歩くことや伝い歩きをするという機会があるといいと思います。安全にクラッチ練習ができるようになるとリハビリ以外での練習は進みます。