簡単に筋緊張を緩める方法
「痙性で筋緊張が亢進し動かすのが難しい」「ストレッチしても硬くて動かすのが困難」「簡単に筋緊張を落とす方法はあるのか?」
筋緊張が高くて動かしにくい手足に対して、ストレッチをすることで、緩むことはできますが、それだけでは本当に緩んだとはいえません。
ストレッチ以上に効果的で簡単な方法をご紹介します。
筋緊張とは
筋緊張は簡単にいうと筋肉が勝手に収縮した状態です。
私たちが立っている時と寝ている時の筋肉の張りは違っています。
寝ている時は、だらっとしていますが、立っている時はシャキッとしています。
それぞれの姿勢に合わせて筋緊張を調整してるのです。
その調整は基本的に脳が行なっており、歩いている時、走っている時も動きやすいように筋緊張を調整しています。
痙性麻痺
脳や脊髄になんらかのダメージがあった場合に、痙性麻痺と呼ばれる筋緊張が高い状態になるときがあります。
普段、脳は筋緊張が強くなりすぎないように抑えていますが、その脳がうまく働かなくなることで、抑えが効かなくなり勝手に筋緊張が高い状態になってしまい、関節を動かそうとしても硬く動かしにくいです。
これが、痙性麻痺と呼ばれる状態です。
ただ、この痙性麻痺のみが筋肉を硬くしているわけではありません。
その筋肉自体やその周りにある組織も硬くなりやすくなります。
そのことを知っておく必要があります。一次的には痙性麻痺で筋肉が硬くなり、二次的に周りの組織が硬くなっていくということです。
筋緊張を落とす方法
いちばん簡単な方法は「自分で動かすこと」です。
例えば、肘の屈伸、膝の屈伸、股を広げる、足首を動かすなど。また、立ち座りなどの動作も同様です。
人間は、関節を動かそうとすると、その関節にまたがる筋肉は緩むように設計されています。神経科学的にそうなっています。
そうやって運動する前と後では、関節の柔らかさが全然違います。
子どもの場合、「肘を曲げて」「足首を動かして」など、口頭で理解することや、細かな関節の運動は難しいです。
遊びの中で、手を使う、足を使うなど外的な手がかりで普段使うことの少ない身体を動かしていきます。
硬かった足や手は緩んできます。
さらには、運動機能の改善にもつながります。
以下にその理由を書いています。
使わないとどうなるか
痙性麻痺のある手足は、①自分で細かく動かすことが困難になります。そうなると、作業する際にうまくいかず、②使いやすい良い方の手足を優先的に使用したり、動かせるところだけ動かそうとします。すると痙性のある手足の筋緊張はより高まった状態が続きます。
これが続くと③学習性不使用と呼ばれる状態になり、麻痺のある手足は余計に使わなくなり、硬くなり、意識しなくなり、そして動かせなくなります。
うまく動かせなくなった手足のままで成長すると、手を使うことや立つ歩くことがより難しくなります。
筋緊張を落とすには、自分で動かすことが必要ですが、さらにその先には①が改善し、②の偏りが減り、③への悪循環を断つことができます。
③になれば、筋緊張の高まりが習慣的となり、筋肉自体の柔軟性が低くなり、筋肉以外の組織の硬さの割合も増えています。
このような場合、いざ動かそうとしても、動きにくくなっているので、ストレッチしてから動かすと良いです。
いずれにしても、「動かさない」ことが一番筋肉が硬くなる原因になるので、できるだけ早い段階からどんどん動かしていくことが、将来の運動機能の獲得につながっていきます。