脳性麻痺児の簡単で効果的なストレッチ方法

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「学校や家でできるストレッチが知りたい」「筋肉をどこまでストレッチしたらいいのかわからない」

 

脳性麻痺で痙直型と呼ばれるタイプは、筋緊張が高く常に収縮している状態が多いです。その状態が続くと筋肉は伸びにくく変化し、関節の動きが制限されます。

 

特に多い制限部位は足関節、膝関節、股関節です。

 

それぞれの関節で主に硬くなりやすい筋肉と日常生活での影響

 

足関節ではふくらはぎの下腿三頭筋の筋緊張が高く、足先が下に向いた状態で硬くなりやすいです。

爪先立ちになり靴が脱げやすくなったりじっと立っていられなくなり、歩くとつまづいて転倒しやすくなり捻挫もしやすくなります。

 

膝関節では太もも裏のハムストリングスの筋緊張が高く、硬くなると膝が伸びにくくなります。

膝が伸びないと、立とうとするとよろけたりして転倒しやすくなります。さらに立つ歩く時の筋肉の負担が大きく立ち続けることも難しくなります。膝が伸びにくい代償で腰を反らせるため腰部への負担も増えます。

 

股関節では太ももの内側の内転筋群や股関節を曲げる股関節屈筋群の筋緊張が高く、硬くなると股関節が開きにくく伸びにくくなります。

膝関節と同様に股関節が伸びないので腰が引けている姿勢になるため、転倒しやすくなり、腰への負担も増えます。排泄の処理を要する方であれば股関節の開きが悪く介助負担も増えます。

 

特に膝や股関節が硬くなれば、寝るときに足がどちらかに倒れる状態になり脊椎が捻れ側弯症の原因になります。さらに、成長に伴い骨が伸び筋肉縮んだままだと、骨は筋肉に引っ張られ股関節脱臼の原因にもなります。

 

本人の社会参加や介助者の負担を考えても、脚の関節が硬くなることで、今までできていた立つ歩くができなくなることは避けていきたいものです。

 

簡単で効果的なストレッチ方法

 

筋肉はなぜ硬くなるかというと、日常的に関節の動く範囲が減れば減った分だけ筋肉は縮んだ状態が続きます。縮んだ筋肉は伸びにくくなり、関節の動きがその分制限されます。

 

例えば、長座体前屈を毎日している人としていない人では太ももの裏のハンストリングの伸びにくさは違います。

 

以前の記事にも書きましたが、子どもは成長に伴い骨の発達があるため、筋肉が縮んだままだと、関節の動きの制限が強まってしまいます。そのため、筋緊張が高く常に筋肉が収縮している状態のお子さんにとってのストレッチの目的はいかに筋肉の短縮を予防するかになってきます。

 

 

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・脚全体のストレッチ方法

車いすを日常的に使用している状況であれば、立つこと歩くことを続ける。今までそれらの活動が少なったあるいはほとんど行っていなかったのであれば、運動の時間を作る、日常生活の中に組み込むことが理想的です。

 

立つことで足の筋肉を自分の力で伸ばす。これはストレッチ方法としてとても有効な方法になります。立位台でもストレッチ効果はありますが、自分の力で伸ばすことは筋力を伴うため関節の動きの維持につながります。椅子から立つ、座るを繰り返せば動きの中で筋肉を活動させることができ筋力トレーニングにもなります。

 

つかまり立ちができたら一人でどのくらい立てるか時間を延ばす。壁に背もたれで立つことで体幹が前傾しないように立つことができます。装具があれば装具を着けて立つことでより膝や股関節を伸ばせるようになります。

 

・足関節のストレッチ方法

日常生活を一人で歩いて生活しているお子さんで足関節の筋肉が硬い場合は、壁にもたれて傾斜台を用いた方法であれば自重で長時間ストレッチが可能です。ストレッチの範囲は踵が着き痛みが出ない程度で伸長感が感じられる範囲です。傾斜台は本でも板でも工夫して傾斜をつけてできます。

 

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その時にストレッチして伸びた結果を出すのはなく、以上のような日常的に動かし続けることで長期的な効果を期待することが望まれます。

 

紹介したのは一部の動作だけですが、例えば肩をストレッチしたいのであれば、バンザイやキャッチボールでも普段動かさない関節を自分で動かすことができます。

 

日常的に様々な姿勢や動作を行うことが、将来的な筋肉の短縮を予防する簡単で効果的な方法だと思います。