関節可動域を知る。測定や制限、訓練について概論

関節可動域ってなに?

関節可動域とは関節が動く範囲のことをいいます。

たとえば肘の関節だと曲げたり伸ばしたりできる角度のことです。全身の各関節の動きの方向と角度の正常値は決まっています。関節可動域は関節の動き=動作に直結しますので重要な評価となります。ちなみに英語でRange Of Motion、略してROMといいます。

関節可動域測定ってなに?

関節がここまでしか動かせない最大の角度をゴニオメーターと呼ばれる角度計で測ることをいいます。ちなみにここまでしか動かせない範囲についても決まりがあります。たとえば股関節の屈曲を測る場合、太ももをお腹の方に近づけていきますが、このとき骨盤が一緒に動いてしまうと正しく測れません。骨盤が動かない範囲で股関節の屈曲を測る必要があります。あとは測る姿勢も決まっています。

関節可動域制限ってなに?

関節可動域の説明にあった通り関節が動く範囲の正常値は決まっています。その値より小さくなっていると関節可動域制限と判断できます。あれ!?ここまでしか動かせないぞ!?といつのまにか前に測った時より角度が狭くなってしまった状態です。

たとえば膝が曲がってしまって伸びきらない状態を膝関節の伸展制限といいます。

関節が動く最大の場所を最終域といい、最終域の組織の感じを評価し、制限因子を判別します。最終域の組織の感じをエンドフィールといいます。

ちなみに正常値より大きく動くような場合は、過可動域といったりします。女性では膝関節が弓のように後ろに反るくらい柔らかい人がいると思いますが、その場合には膝関節の過伸展といいます。

関節可動域訓練ってなに?

関節可動域制限に対して広げるためやいまの関節可動域を維持するために行う訓練です。広げるための方法はストレッチと呼ばれる運動になります。維持するための方法は関節を動かす運動になります。

特にストレッチは解剖学や運動学を理解して行う必要があります。関節可動域制限の原因となる組織を伸ばすわけですから、なにが原因で制限しているのかを特定して実施しないと間違えて違う部位を伸ばして怪我をするリスクがあります。

さらにストレッチや関節を動かす運動を行う際には関節の構造を理解した上で動かさないと正常な動きが出ないため組織の損傷を生じさせるリスクにつながります。

たとえば肩関節屈曲(バンザイ)や外転(外に開く)するときには必ず肩関節外旋(手のひらが外に向く)が伴います。それを頭に入れて動かさないと肩関節を痛めてしまいます(ホントに危険)。

専門職は関節の構造や関節を構成している組織、筋肉の起始停止やその走行を理解した上で関節可動域訓練をする必要があります。