立ち上がり動作の効果 家でできる効果的なリハビリ

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「家でできるリハビリの立ち上がり動作にはどんな身体的な効果があるのか?」

立ち上がりは1日の生活の中で幾度となく繰り返されているいたって普通の動作です。椅子から立ち上がりトイレに入り便座に座る。便座から立ち上がりトイレから出て再び椅子に座る。このように立ち座りの動作は生活を遂行する上で必要な動作になります。この立ち上がる動作が困難な方もいます。膝が痛い、腰が痛い、足が痛い、うまく足に力が入らない、身体がふらつき立てないなど身体機能の問題で立ち座りが行いにくい方です。ただ立つだけなのに困難な方が多い理由には、実は立ち上がり動作が簡単なようにみえて意外と難しい面があります。なので難しいからこそ立ち上がり動作はリハビリの1つとして多様な効果が期待されます。今回は立ち上がり動作の効果について考えます。

神経系への効果

まずは座位保持能力が必要です。座位保持には体幹や股関節周囲筋での姿勢制御が必要になります。

前方に倒れそうになると下肢で支持面を固定し圧中心を前方に移動させ脊柱起立筋や殿筋群、ハムストリングなどの働きで身体重心を後方に持っていく。後方に倒れそうになると少し下肢での支持を軽くし圧中心を後方に移動させ腹直筋や外腹斜筋などの腹筋群、中殿筋や大腿直筋、内転筋、縫工筋、腸腰筋などの股関節屈筋群で身体重心を前方に持っていきます。側方や回旋方向への姿勢制御も含み座位での姿勢制御が必要です。

立ち上がる際には体幹や骨盤を前傾させ、重心を下肢に移動し、足関節での姿勢制御に移行します。体幹の前傾から足への重心移動には慣性力が働いており、体幹や下肢は屈曲位で不安定な姿勢ですから支持基底面の狭い足関節での姿勢制御には神経系の働きを多く必要とします。

全体的な屈曲位から伸展させるための全身の協調的な重心コントロールも必要になってきます。

さらに座位から立位に変換することによって血液が下肢へ集中し下肢静脈や心臓や頸部の受容器の反応から循環動態の平衡を保とうとする働きが起こり、自律神経系の働きが賦活されます。

このように体幹や下肢の随意性や協調性、バランス反応を促し自律神経系の働きも賦活させる効果が期待されます。

筋骨格系への効果

座位姿勢に必要な体幹筋や股関節周囲筋の等尺性収縮と、骨盤を前傾させるための腹筋群の遠心性収縮、脊柱起立筋の求心性収縮、殿筋群の遠心性収縮、股関節屈筋群の求心性収縮の協調的な筋活動が得られます。

重心を下肢に移動する際には、大腿四頭筋や内転筋、中殿筋などの大腿部や股関節周囲筋の等尺性収縮とともに前脛骨筋の求心性収縮の活動が得られ、足底に重心が移動するとともに下腿三頭筋の遠心性収縮とそれより上位関節を制御する筋肉の協調した遠心性収縮と等尺性収縮の活動が得られます。同時に伸展方向への求心性収縮が合わさります。

このような筋活動の負荷量は座面の高さによって違います。座面が低いとより筋力を必要とします。膝や腰が痛い人は高い座面を選択すると思います。また手すりを使って立ち上がる人もいます。

このように立ち上がりを通して下肢筋群の筋力維持増強ができ、立ち上がりに必要な体幹や股関節、膝関節、足関節の関節可動域の維持やストレッチ効果があります。

まとめ

立ち上がりは特に体幹下肢の協調的な筋活動が非常に大事になってきますので、筋力増強とともに協調性を得られる効果的な生活動作になります。