座位姿勢のリハビリ効果 座るだけでも多くの機能を高めることができる

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座位姿勢は日常生活では食事や整容などの基本的な生活動作や他者とのコミュニケーションや屋外での参加に必要な活動姿勢であり、休息姿勢でもあります。座位は様々な種類があり、正座、あぐら、長座、割り座、横座りなど多くの姿勢があります。支持基底面は殿部、大腿部から足底部に作られることがほとんどで、主に体幹筋群や股関節筋群での制御が必要になります。リハビリ場面で座位の練習をする場面がありますが、これら座位の特徴からどのような効果があるのか紹介します。

神経系への効果

姿勢を起こしているため、覚醒レベルは高まり、自律神経系の働きも得やすくなります。座位で床の物や遠くのものを取るリーチング活動や足を組む動作などの動作により前後左右方向へバランス能力の向上が図れ、体幹や股関節周囲筋の協調性を得ることができます。

バランスボールの上など不安定な面での座位は体幹筋群への同時収縮が働きやすく促通されます足底が床に着いた座位姿勢では下肢へ荷重することもできるため立ち上がりへ向けた足底への重心移動の練習にもなります。足底を浮かせた座位姿勢は特に体幹筋の協調的な働きが必要となります。

筋骨格系への効果

長時間の座位姿勢を維持するには腹筋群や脊柱起立筋、股関節周囲筋など座位姿勢を保つための筋の持久力や筋力を必要とします。そのため、座位姿勢をとることでそれらの筋力および筋持久力をトレーニングすることができます。

収縮形態は姿勢保持の理由から等尺性収縮が多く占めることになるでしょう。もちろん動的には遠心性や求心性の筋活動も必要です。例えば骨盤の前傾運動には腸腰筋、大腿直筋、多裂筋、中大殿筋、ハムストリングスなどの筋活動を得られます。

座位姿勢のバリエーションからあぐら座位では股関節の内転内旋筋、中殿筋後部や大殿筋後部ストレッチと腰部脊柱起立筋や多裂筋のストレッチが得られます。重心は後方にあり体幹や下肢の屈筋群や中殿筋の活動が多く働きます。

横座りでは足を投げ出している逆側の中殿筋や腹斜筋や脊柱起立筋がストレッチが得られるとともに主に中殿筋や腹斜筋群の側方の姿勢保持に対する筋力トレーニング効果があります。手で支える座位では上肢の支持性もトレーニングすることができます。

正座では重心位置が高くなるため姿勢制御の点で少し難易度は高くなりますが、大腿四頭筋や前脛骨筋のストレッチを行うことができます。重心は前方に移りやすく体幹や下肢の伸筋群の活動が多く働きます。

背もたれありとなしの座位では体幹筋力の活動に差が生じるので難易度を変化させることができます。脳性麻痺児では座位保持装置を使用することが多いですが、モールドタイプのように全面で支えるものに座るともたれてしまうので体幹筋力は使うことはなくなるため、逆に筋力低下を招きます。

呼吸器系への効果

臥位に比べて腹腔内臓器の位置が下がり、伴って横隔膜の位置も下がるため肺の容積が広がり呼吸しやすくなります。前もたれ座位では肋骨や鎖骨が挙上位となり胸郭が開き呼吸筋の仕事量も低下するため呼吸が楽になります。

座るだけでも多くの機能が働くため、目的に応じた座位姿勢の介入は多くの機能を高めることになります。ADL課題を取り入れた座位トレーニングなど、座るだけでも家でできるリハビリになります。