筋緊張の評価 Modified Ashworth Scale(MAS)、Modified Tardeu Scale(MTS) 臨床への活かし方など

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筋緊張の評価方法で臨床的によく用いられるものにMASやMTSがあります。

MASは痙性の評価と非収縮要素も含めた評価にもなっています。MTSは速度依存性での評価となりより痙性の評価としてはMASより妥当性は高くなっています。

Modified Ashworth Scale(MAS)

0:筋緊張の増加なし

1:軽度の筋緊張の増加あり。患部を屈曲あるいは伸展すると引っ掛かりとその消失。または可動域の終わりにわずかに抵抗がある。

1⁺:軽度の筋緊張の増加あり。引っ掛かりがあきらかで、可動域の半分以下の範囲で若干の抵抗がある。

2:さらにはっきりとした筋緊張の増加が全可動域に認められる。患部は容易に動かすことができる。

3:かなりの筋緊張の増加あり。他動運動は困難である。

4:患部はこわばって、屈曲または伸展できない。

他動的に動かしながら抵抗感で評価します。他動運動時の力加減に個人差がありますが、筋緊張の亢進部位を数値で評価できるので、どの筋がどのくらいの筋緊張を持っているのかをわけることができます。

筋緊張は姿勢の変化や動作によっても増減するので、その変化を比較することや、さらには治療の効果判定としても比較することが可能です。

Modified Tardeu Scale(MTS)

強度および期間の評価(X評価)

0:他動運動に対して抵抗がない。

1:正確な角度における引っ掛かりはないが、他動的運動に対してわずかな抵抗がある。

2:他動的運動をさえぎる明確な引っ掛かりが正確な角度で生じ、次いで弛緩する。

3:圧を維持したときに10秒以下で減衰するクローヌスが生じる。正確な角度で出現する。

4:圧を維持したときに10秒以上持続するクローヌスが生じる。正確な角度で出現する。

角度評価(Y評価)

R1角度評価:速い速度で動かしたときの引っ掛かりが生じた角度

R2角度評価:遅い速度で動かしたときの角度(他動可動域)

MTSはR1の速い速度で動かしたときとR2の遅い速度で動かしたときの角度をそれぞれXとY評価で行う。

例えば足関節背屈の他動運動時に速い速度で動かすと5°の角度で引っ掛かりが生じた後弛緩したが、遅い速度で動かすとわずかに抵抗があり20°でend feelを感じた場合。

MTSはR1は2に当てはまり5°の角度となりR2は1に当てはまり20°の角度となる。筋自体の硬さはないが伸張反射が生じていることになる。

MASに比べて速度依存性による評価のため痙性の要素をよく反映できる評価法になっています。

そのため、痙性の抑制の程度、例えばボトックスの治療効果の状態についても評価できます。

MAS同様に治療効果の判定や数値化による比較、さらに伸張反射が生じる角度など痙性の要素を抜き出した細かな評価が可能になります。