脳性麻痺児者の二次障害予防 痙性麻痺と骨密度について

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今回は二次障害の中に痙性の増強と骨密度の低下をご紹介します

痙性増強の主な原因

痙性筋の伸張性低下に伴うもの

成長期の骨の成長に伴い痙性筋の相対的な短縮が引き起こされます。また運動機能低下や活動量低下に伴い関節運動が少なくなり筋の伸長性が低下し短縮しやすくなります。そうなってくると筋線維が張っている状態にあるので筋紡錘の感度は高くなり痙性が増強します。

痛み、疲労

身長や体重が増え活動量低下により車いすで座っている時間が多いと、腰や肩などの痛みや疲労が蓄積されます。姿勢保持に代償的な筋活動を要するため、全身的に筋緊張は亢進しやすくなり痙性は増強します。

痙性増強の予防方法

ストレッチ

筋の短縮を減らし、筋紡錘の感度を低下させることができます。日々のストレッチ、特に自ら動かすことが大切になってきます。

姿勢ケア

同一姿勢の回避や車いすの適合など日々の姿勢で心身ともにストレスが少なくなるように配慮します。

適度な運動

筋肉は収縮したら弛緩する性質があります。運動すると心肺機能が向上し自律神経系への効果が期待されることもあり、リラクゼーションが得られます。心的なストレスにとっても運動はストレス解消に働くことがわかっています。慢性疼痛に対しても改善効果があります。

 

骨密度の低下の原因と骨折について

運動の制限が起こることで骨への刺激が少なく骨密度が阻害されます。また栄養摂取に問題があれば骨への栄養も足りず骨密度は低下します。これは早期から起こりえることです。脳性麻痺児で早くて2歳から骨粗しょう症が生じているといわれています。

骨折リスクはその分高くなります。脳性麻痺児者の約半数は骨折リスクがあるといわれています。GMFCSⅢ~Ⅴでは骨密度は有意に低く、10歳以上では26%が骨折が発生しているそうです。

骨密度低下の予防法

適切な栄養

栄養を取ることは組織を作るうえで基本的なことです。栄養状態を把握し適切な栄養指導を行うことが骨密度低下を予防することにつながります。

離床(座位、立位、歩行)

できるだけ座位など離床を行うことで骨への荷重刺激を与えます。抗重力に姿勢を保つことで骨密度低下を抑えることができます。

適切な運動と荷重

運動することで筋活動が生じ骨への刺激も多く入ります。骨はその分強くなろうと反応するため、適切な運動習慣は骨密度低下を予防することにつながります。荷重にはプロンボードの選択もあります。

 

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他動運動

 運動することが困難な方でも他動的に運動を行わせることで骨組織への反応を得ることができます。