脳性麻痺児者の二次障害とは 運動機能の変化について

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脳性麻痺の二次障害ってなに?」「二次障害の予防法はあるのか?」

小児リハビリテーションをする上で押さえておきたいのが二次障害です。対象者の将来像を予測するために二次障害にはどんなものがあるのか知っておくことが必要です。そしてほとんどの脳性麻痺児者の方は二次障害を持っています。それとどう向き合っていくか、どう軽減していくか、セルフケアの必要性を知ることが大切になっていきます。今回はそもそも二次障害とはなにか、運動機能はどうなっていくのかを紹介します。

二次障害とは

二次があれば一次があります。

一次障害とは脳性麻痺の定義から考えられるものです。定義というと厚労省から出ているものや最近では国際的な定義も出されています。どれも発達期の脳損傷などの影響による運動障害の総称をいっています。つまり痙性や反射亢進、筋力低下、バランス障害などが複雑に絡み合った運動発達障害のことを指します。今回は運動面のみですが認知やコミュニケーションの障害もあります。

二次障害とは成長や加齢によって一次障害が進行して生活習慣に基づいた様々な疾患や症状の総称をいいます。例えば痙性麻痺があり運動習慣が少なくて筋が短縮し関節可動域制限が生じることです。症状には脊柱側弯や股関節脱臼、関節拘縮、痛み、呼吸障害、骨折、鬱傾向、意欲低下など様々あります。

二次障害の要因

思春期や成人期の移行による心身機能のピークを境に生じやすいです。思春期前の特に乳幼児期の頃は運動発達の力が高く姿勢管理もしやすいので二次障害は比較的少ないです。思春期以降の成長期に入ると骨の成長や体重増加があり運動発達は学習的になり代償も増えます。環境も変化し体格が大きくなり介助量も増えることで姿勢や運動管理は乳幼児期に比べると少なくなります。そのため二次障害が生じやすくなります。成人期以降も老化や生活習慣病も要因となってきます。

運動機能の変化

変化の多い時期である思春期の時点で障害が軽度であれば最高レベルまで到達し、障害が重度だと後退が進むといわれています。GMFCSレベルでみるとⅢ・Ⅳの方は6歳11か月、Ⅴの方は7歳11か月から運動能力は低下傾向になるといわれています。このように粗大運動レベルによって運動機能の発達は早い段階でピークに達し、特に思春期において成長や環境の変化によって運動機能の変化が大きくなります。例えば日常的に介助歩行ができていたが体重増加や関節拘縮により歩行困難になるといったことが起こりえます。

 運動機能を維持する上での課題

GMFCSレベルでみるとⅠ~Ⅱ(軽度)の方は到達した機能を維持し耐久性を向上させることが課題になります。独歩が可能なレベルなので日ごろのストレッチなどのセルフケアや運動する機会を持つことや減らさないことが大切になってきます。

Ⅲ~Ⅴ(中等度~重度)の方は運動機能の後退を予防し、生理的機能の向上、支援環境による自立度の向上が課題になってきます。特に大切なのは運動機能の後退はすぐに起こりえますので、現在の機能を維持するために福祉機器を用いつつ運動する機会を持たせ活動性を高める環境づくりが重要になってきます。それが呼吸や循環などの生理的機能の向上につながり自立度の向上につながっていきます。

 

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