脳性麻痺児の側弯の原因や評価、治療法について

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「側弯の原因や影響は?」「側弯はどうやったら生じるのか?」

側弯とは

脊柱が捻れながら側方にカーブし変形して行く状態です。形からCカーブやSカーブがあります。椎間関節面の形状から凹側に捻れるため凸側の背部の肋骨は膨隆し凹側の肋間は狭く可動性が低下します。胸骨体は凸側に偏位し胸郭自体が変形していきます。

側弯の評価

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Cobb角と呼ばれる側弯の角度を使った評価があります。レントゲン写真で側弯のカーブしている脊椎の傾きが一番大きい椎体同士の平行する線が交わる角度を計ります。角度によって手術の適応などがあります。以下はあくまで目安です。

Cobb角

15〜25°:体操などのケア

25〜40°:装具療法

※40〜45°以上:手術適応

※成長が終わっても側弯の進行がみられる。

 

側弯の原因

思春期に発症する特発性側弯症がありますが、これは原因はわかりません。

腰痛などの痛みをかばったりすることで常に脊柱を曲げて生活を続けることで機能的な側弯になることがありますが、一時的であるので脊椎の可動性がまだ保たれています。しかし、そのままの状態で放置すると可動性が低下し構築的な側弯につながっていきます。

四肢の一部が欠損していることで代償的に重心位置が変わることで脊柱側弯の原因になることがあります。

先天的な疾患が原因で側弯を発症することもあります。

脳性麻痺における側弯の原因

脳性麻痺の方は異常筋緊張と呼ばれる筋緊張の亢進がみられ左右非対称な分布になると特に脊柱側弯になりやすいです。姿勢保持にも困難がみられ座位姿勢において左右どちらかに傾いた姿勢が続くと側弯の原因になります。

臥床状態が続く方では身体の形状から一定の非対称な姿勢を取り続けるため重力の影響により側弯症が生じることがあります。特に膝が曲がっていて伸びない方は寝た状態では脚はどちらかに倒れる状態が続き骨盤が回旋し脊柱も捻れて側弯の原因になります。

首の回旋も同じようき右向きが多くあれば左凸の胸椎の側弯が生じやすくなります。

股関節脱臼も原因になります。股関節脱臼があると座位姿勢は片側に傾きやすく臥位姿勢でも脱臼側は内側に脚が倒れていきますので、非対称姿勢を作り出すので側弯の原因になります。

側弯の影響

脊柱が変形するため胸郭の変形も同時におこります。そのため側弯が進むと気管支や肺まで変形の影響が生じ胸郭の可動性が低下するため拘束性の換気障害など呼吸器系の障害につながる恐れがあります。

胸郭の変形は肩甲骨のアライメントも崩すため肩関節の可動域も低下します。

脊柱の動きが制限され腹腔内の臓器の位置も変わり腸の動きも低下し便秘になることもあります。

側弯による一定の傾いた姿勢によって脊柱起立筋の筋活動は常に高いレベルで酷使されるので腰痛などの痛みも生じやすいです。

側弯の治療法

現在は側弯そのものを改善させる治療法はありません。そのためどうしても対処療法になりますが、ポジショニングやストレッチ、運動などで側弯の進行を遅らせることが選択肢として上がってきます。

ストレッチでは側弯を悪化させないためにも例えば凹側の腹斜筋群や腰部脊柱起立筋、肋間筋の短縮は避けるようストレッチする必要があります。

また同一姿勢を避けることも大切です。ずっと右向きでいたなら左向きに横になることや、座位姿勢がつづくのであれば同じ姿勢ばかりをとるのではなく、腹臥位や寝返りなど様々な姿勢バリエーションを取り入れ身体活動を行うことが重要です。

ここで注意したいことは、傾いた姿勢で座位保持している方に側弯になるからといって座らせないでずっと寝かすことまたは寝かせた姿勢に近い状態にさせることは絶対に避けて欲しいことです。なぜなら座位姿勢より活動量は圧倒的に下がり脊柱を支える体幹筋力が低下することでより側弯を助長することになるからです。ここはあくまで同一姿勢を続けるのを避けるといった意味で多様な姿勢動作を取り入れることが大事だということをお伝えしたいです。 非対称姿勢をなるべく避けるためにポジショニングすることは重力の影響を身体に最小限にするためにも必要なことです。

他には手術により脊椎の横に支柱を渡してまっすぐ固定する方法などあります。その場合脊柱の可動性がなくなります。

コルセットは脊柱のアライメントを重力の影響から最小限に抑えてくれるため予防の策として取り組まれています。

 

とりあえず以上