脳性麻痺児者の二次障害予防 身体の痛みの原因と対処法

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「首が痛いから押して!」

「とりあえず腰が痛いから揉んでほしい」

 

よしわかりました!ここですか!ここですね!グリグリグリ〜

 

「気持ちいい〜ありがとう!スッキリしたよ」

 

いつでもどうぞ!

 

数日後、

「腰が痛いからまた揉んでほしい」

 

 こんなことは日常茶飯事ですね。

 

脳性麻痺児者の二次障害に身体の痛みがあります。

どの時期が多いかというと体格や環境の変化が大きい思春期から成人期以降の方に多いです。自立度が高い方、低い方ともに起こりえます。

 

自立度が高い方は、普段の生活を一人で頑張っていることで身体に負担が大きいです。

自立度が低い方は、同じ姿勢や活動量が低いことで身体に負担がきます。

 

腰が痛い、首肩が痛い、足が痛いなど人によって身体のさまざまな部位に痛みを感じており、日常的に悩まされています。

痛みが生じるとストレスが溜まり全身の筋緊張は高まるためよけいに痛みを助長させてしまいます。

 原因について

痛みが生じる原因は何かというと、筋に過剰な負荷が掛かっていることがほとんどです。

他にはアテトーゼの方に多くみられる頚椎症による痛み、しびれがあったり、股関節脱臼による痛みなどがあります。

 

筋の過剰な負荷が生じる原因は、体重増加と運動機会の減少があります。

以前の記事に書きましたが思春期以降は体格の変化と運動機会が減ることが多いため太りやすくなります。

 

同じ筋力でも体重が増えた分の負荷は高くなり、運動機会が減ることで筋力も低下します。

同じ姿勢でいる時間がどうしても増え、姿勢を支えるための筋肉がずっと収縮しています。

収縮が続くと筋肉内の酸素は減り、筋の弛緩が難しくなり発痛物質が溜まったり痛みを感じやすくなります。

 

もう一つの原因は活動し続けることによる痛みです。

上記はどちらかというと自立度は低い方が多いですが、活動し続けることによる痛みは自立度が高い方が多いです。

 

思春期以降、自立が求められる生活にシフトしていきます。

学校生活、社会生活、日常生活において自分なりに頑張って生活しています。

 

板書や階段昇降、荷物を複数持ちながらの歩行、公共交通機関を含めた屋外での移動、

家事動作、育児など私たちでも長時間続けると疲れるような活動を行うわけですから、身体への負担は大です。

 

肉体労働を毎日毎時間休みなく行っているのと同じなので、もちろん筋の過剰な負荷がそこで生じます。

 

その他アテトーゼや脱臼による痛みに関しても二次障害の一つなので過去の記事を参照して下さい。

 

ptemon.hatenablog.com

 

 

ptemon.hatenablog.com

 

 

痛みの部位で多いのは背中 

痛みの部位は背中が一番多いです。主訴としての腰痛は車いす利用者が多いです。

側弯があったり、筋力に左右差があったりすると、代償的に筋への負荷がよけい集中します。

 

場所として多いのは腸肋筋と最長筋です。

腸肋筋は脊柱から一番距離のある脊柱起立筋であるためモーメントアームが長く側方への傾きに対し筋活動が生じやすいです。

さらに骨盤後傾位だと伸展筋力としても作用するため負担は大きくなります。

 

最長筋はとくに胸腰椎移行部で厚くなっており伸展として作用が主となるため円背姿勢においての過活動が影響しています。

 

車いすで座っている時間が長くなると、腰部以外に中殿筋の痛みも多くの方に見られます。

座位姿勢の維持には股関節の支持が必要になりますので、中殿筋への負荷は溜まっていきます。

 

自立度が高い方で歩いている方では、腰よりも主に首や肩関節に多いですね。

生活レベルが高いと集中的な視覚活動を伴うことが多いので、

頭頸部の安定に作用する筋群の負荷が大きくなります。

 

また物を持っての歩行や階段昇降、屋外不整地歩行などで、

バランスをとるのに肩甲帯の固定で代償することも多いため、肩関節周囲筋の負荷も大きくなります。

 

このような痛みに対して対処できることはあるのでしょうか?

 

痛みが生じる前に対策を講じる

姿勢を見直すことでどこにどんな負荷がかかっているのかを考えること。

さらに同じ姿勢や動きを避けるため姿勢変換や活動内容のバリエーションを増やすこと。

 

私たちでも疲れたら背伸びをしたり肩を回したりします。同じようなイメージで身体を動かす機会を作る。

有酸素運動は筋活動を引き出しながらストレス発散、リラクゼーションに作用するので効果的です。

 

少し心拍が上がる程度でも普段活動する機会が低い方にとってはいい運動です。

立ち座り、寝返りごろごろでも大丈夫。

スポーツなんていいですね。自立心を育み心身ともに健康になります。

 

セルフストレッチができる方は行うといいでしょう。

活動量が高い方はストレッチはリラクゼーションを得るため効果的です。

頑張っている方は筋を休めましょう。

 

痛みとどう向き合うか

マッサージや薬物療法などで一時的な対処は可能です。

しかしそれは気持ちの面での満足度は高いですが、

また同じ生活に戻るので痛みそのものへのアプローチとは少し違います。

 

上記でも言いましたが、やはり自発的な運動が1番効果的です。

 

筋肉の収縮弛緩が筋の柔らかさを取り戻す。脳が痛みを抑制させる。

ダイエットになり筋力増強できる。心肺機能が高まり、

副交感神経系の活動が優位になりリラクゼーションを得られるなど、様々な効果があります。

 

もちろんマッサージも必要です。

自分でストレッチしにくい部位などは他者にほぐしてもらったらいいので。

それに気持ちいい。

 

それに普段から頑張っている身体を労わるという意味でもマッサージという報酬があっていいと思います。

なので、適度な運動習慣と合わせて利用していけばいいと思います。

 

まとめ

要するに体に負担がかかる運動、姿勢を行っているため、同じ姿勢を回避することや簡単な運動する機会を作る、

身体のケアを行うことが痛みを軽減するための方法になります。