脳性麻痺児者の二次障害予防 変形拘縮などの原因と頸椎症について それらを予防するには

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硬くなりますよね、関節が。私たちも腰や肩、膝など硬くなったりします。それは加齢の影響もあると思いますが、高齢の方でも柔らかい方がいらっしゃると思えば、やはり運動習慣にしか他ならないですね。関節可動域は誰でも変化し得ることです。もしなにかしらの原因があってそれにより関節可動域が狭まるのは二次障害になります。例えば膝や腰に痛みがあって動かすことを避け筋肉を硬ばらせることで関節が硬くなるとこれは二次障害による関節可動域制限です。比較的誰でも起こり得る関節可動域制限。そのため脳性麻痺児者における二次障害のなかでも多く見られる症状です。制限以外に関節可動域が過剰になることもあります。脳性麻痺のタイプでどう違うか。アテトーゼ型は関節可動域は過剰になり、それによる二次障害として頚椎症が成人期のアテトーゼ型の方に多く見られます。

脳性麻痺のタイプでの違い

痙直型とアテトーゼ型で比べると関節可動域制限をきたしやすいのは痙直型です。

なぜなら痙性麻痺による筋緊張亢進が筋の短縮を引き起こしやすいからです。特に急激な成長の時期(思春期)に身体の変化に運動機能が対応できないことが要因としてあげられます。運動制限により活動量が減少し、関節運動範囲は自然と少なくなります。痙性による筋の短縮が起こりやすい状況と骨の成長が伴うと筋は骨の成長についていけず引っ張られることで関節運動は制限されます。そうなると膝が伸びにくくなったりとさらに運動制限が進みます。

この関節可動域制限による影響はGMFCSⅢ〜Ⅴの成人脳性麻痺者では運動機能低下と痛みが相関しているといわれています。つまりより二次障害の症状が増えるということですので、関節可動域の維持は脱臼や側弯などの変形も含め多くの二次障害を予防できます

ちなみにアテトーゼ型は過剰な関節運動をきたします。そのため関節可動域は過剰になることが多いです。

関節可動域制限の予防には

関節運動を維持するために継続的に自動的、他動的な関節可動域運動を行うことが勧められます。しかし、毎日各関節を最大まで動かすとなると時間が足りないので、日常生活の中で特に硬くなりやすい脚の関節を維持するには思春期においても今まで獲得された運動機能の維持に努めること、例えば立つことや歩くことを続けることが必要になります。逆に動かないと筋力が低下し活動量はさらに低下するので運動機能は落ちて余計に関節可動域制限は進みます。これに関しては過去の記事にもありますのでご参照下さい。

 

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頚椎の障害

アテトーゼ型に多いのが頚椎症です。35歳にはほぼ全員に頚椎症がみられ40歳には約半数に椎間板変性があるといわれています。症状として運動障害やしびれ、痛みが多いです。頚椎は命に関わる非常に大切な部位になります。

頚椎症の機序

頚椎の不随意運動による頚椎に過度な力学的ストレスがかかります。これがが繰り返されると関節に骨棘の形成や椎間板ヘルニア、骨のずれが生じてきます。これらの変化が頚椎を通る脊髄を圧迫することで頸椎症の症状がでてきます。

頚椎症の予防のために

身体面では過度な努力をすることで頚椎への負担が増すのでそうならないよう自己調整を促します。また動作時に筋緊張をコントロールしながら過剰な不随意運動を狭めていくことがつながっていきます。生活面では日常生活の中で頚椎に負担のならないような姿勢や運動をマネジメントしていきます←これは大事です。

 

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