小児理学療法の効果、目標について

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「骨盤の動きが良くなった」「少し膝が伸びた」

しばらくすると、また元に戻る。まはリハビリでリセットする。これは関節の動きを維持することはできていますが、維持止まりでその先の運動の獲得につながっているとは思えません。特に就学期を迎えたお子さんには、身体のメンテナンスが多いと思います。

 

いまできる最大の運動能力はなんでしょうか。その先の運動ができるようになったら本人もその家族もきっと生活が楽になると思います。

 

子どもたちは将来的に結婚、子育て、就労、介護など、たくさんのライフイベントが待っています。家族や友人との関係も人生の仲立ちとなって影響してくるでしょう。

 

自分の道は自分できめる。

「自己決定の自立」という言葉があります。他人に選択を任せない自分の意思で物事を決めるための力です。子どものリハビリテーションの中で大切になってくる部分です。子どもたちが能動的で社会性が豊かな大人になるために必要なことだと思います。

 

どのようにして自己決定の自立を促せるのか。

本人に選択させることは大切だと思いますが、やはり小さい頃から自発的に周囲と関わっていく過程は大切かなと思います。

 

周囲に関わっていくためには、運動のバリエーションを増やすことが必要です。電動車椅子の導入もバリエーションの1つです。

 

運動発達の遅れを修正していく理由に、早期から移動手段を獲得することがあげられます。移動を獲得することで相互間の関わりが生まれ、興味を作り欲求となり行動が生まれます。そして新たな環境に適応する段階に移ります。

 

発達の遅れを修正しないままだと、興味を得る環境が少なく欲求も芽生えることもなく行動に移すこともなくなります。そして将来的に周囲の環境への適応能力や他者とのコミュニケーション能力が低く自発性の少ないままとなることが考えられます。

 

運動のバリエーションが増える。というのは、自分の周りの環境が広がるということだと思います。

 

例えば介助歩行ができるお子さんが、歩行器で歩けるようになったら、その子は誰の介助もなしに1人で歩く経験ができます。行きたいところに行き新たな環境に触れる。それは自発的な行動になります。自らの意思で動く一歩になります。

クラッチができるようになれば、狭い空間を伝って歩けるようになり環境も広がります。もちろん歩行器も安定してきます。

 

様々なライフイベントが待っている子どもたちの未来を作るのは今の環境だと思います。今の運動能力を維持するのか、向上させるのか。新たな運動を学習するためには、何度も何度も繰り返さないとできません。そしてチャレンジすることが必要です。

 

小さな頃からどんどん運動能力を高めてできることを存分に行う。次の新たな運動手段の獲得につながります。できないことにこだわっていると、できることを行う機会が減り、次のステップが滞ることがあります。

 

 将来を見据えて今の運動バリエーションを増やすことは、豊かな人生を歩むために必要なことだと思います。

 

 最後まで読んでいただきありがとうございました。