小児理学療法における動作観察、分析のコツ
「動作観察は成人と一緒で大丈夫なの?」「子ども特有の観察の方法はあるの?」
小児リハビリは特別だとか難しいとか言われていますが、理学療法プロセス自体は成人と変わりはないです。もちろん動作観察、分析の考え方も変わりません。今回は子どもの動作観察の方法を簡単にご紹介できればと思います。
年齢と発達過程の確認
まず年齢といまの運動発達のレベルを確認します。独歩するまでの運動発達の中でどの段階にいるのか。いつからどんな運動を経験してきているのかを情報収集しながら実際の動作を観て確認します。
1人でどこまでできるかを確認
移動能力と姿勢保持能力を観ていきます。 現在の移動はどのように行なっているのか。座位や立位など姿勢保持はできるのか。手で支持しているのかどうかもです。この時点でまだ到達していない動作もわかってくると思います。
お子さんの筋緊張の変化があれば確認し、いつどの姿勢や動作で生じるのかを観ます。
介助や器具でどこまでできるか。
例えば立位で体幹、骨盤、大腿、下腿などそれぞれどこを介助していれば保持することができるのか。関節の支持する能力がわかります。また介助歩行や歩行器歩行でも一緒です。
支持している場所と重心位置を変化させる力(姿勢コントロール)
どこの身体部位で支持しているのか。例えば端座位でも坐骨と大腿で支持している場合と足底を含めて支持している場合があります。
身体の重心位置は大体決まっていると思います。基底面と重心の位置関係でどこの部位でどこまで重心をコントロールできるのかを観ます。例えば端座位で股関節で重心移動ができているのか、など。
各姿勢、動作で共通する部分や相違の部分を考える。
座位、立位、歩行など各姿勢動作で共通する部分や相違の部分を考えて、それぞれがどう関わっているかを分析します。
必要な要素は何か。
これまでの観察結果や疾患の特徴を照らし合わせ分析します。次の発達につながる要素を考えます。なぜ経験が不足したのか。どう経験させたらいいのか。ちなみに子どもに異常や正常という概念はないに等しいと思います。その時の環境や身体への影響などを考えながら、動作を観ていきます。
ざっと例をあげてみます。
2歳で四つ這いを経験せずにつかまり立ちができるレベルのお子さん。いざりを獲得しており、主な移動手段となっている。床座位は可能だが、端座位は不安定。いざりは手は使用せず足のみで移動している。つかまり立ちでは骨盤が引かれ下肢は伸展位で固定されており、しゃがむことはできない。伝い歩きは未経験。骨盤を支えると立位保持が可能だが、大腿部では不安定であった。介助歩行は可能である。つかまり立ちは手支持で支えることができるが、片手を離すと骨盤が動揺する。端座位姿勢は円背で後方重心である。前方へのリーチでは骨盤の前傾は伴わず重心移動範囲は狭い。
つかまり立ちでは伸展優位の支持で関節運動が乏しく特に前方への重心移動が困難となっている。さらに四つ這い未経験であるためつかまり立ちで上肢や下肢の運動による体幹や股関節での姿勢コントロールは未熟であることがわかります。
今回は子どもの動作観察、分析のコツということで、何を観るかを中心に記載しました。