こどもの靴の選び方3

前回は靴底の硬さの話をしました。

硬い靴は大人でも歩きにくいですよね。

 

こどもに大人の価値観を当てはめたり大人の都合を押し付けたり、こどもにとっては迷惑他ならないですね。

 

さて今回は、靴の皮の話です。

 

靴底以外の側面や甲側を覆っている皮の硬さのことです。

 

足袋のようにやわらかい布で覆われるだけではフニャフニャして足を保護することはできません。

 

かといってまたもやスキー靴のようにロボットの足になるとうまく歩けないですね。

 

どこもかしこも硬かったり柔らかかったりでは意味ないです。

硬さにもポイントがあります。

 

踵を覆う部分は硬めが良い。

靴の踵部分を横からつまんで押してみてください。ちゃんとした靴では硬くなっています。

 

なんで硬くする必要があるのかというと、踵が横に倒れるのを防ぐためです。

 

靴を履くと地面の変化を捉えにくくなるので、床の衝撃をうけるときや重心移動の変化に足が裸足の時よりも適応しにくくなります。そのため、柔らかい靴だと踵が倒れやすく、蹴り出しが不十分になります。

 

踵周りが固めの靴は踵をホールドしてくれるので、体重移動がスムーズになり効率的な歩行ができます。

 

踏み返し時の甲の部分のたわみは当たりが柔らかいものが良い

歩く中で、つま先で地面を蹴るときに、足指が上に曲がっていきます。この踏み返しにおいて、甲の部分の皮のたわみが柔らかいものが良いです。

 

硬いと、曲がったときに甲の部分に皮が当たって赤みや痛みがでる恐れがあります。

 

 

今回はこれでおしまい。

 

 

こどもの靴の選び方2

前回はサイズの合う靴を選ぶ必要性を書きました。

今回は、靴を選ぶポイントについてご紹介します。

 

靴底は硬すぎないものが良い。

靴底が硬すぎると歩く時の踏み返しができずにパタパタした歩き方になり、足の筋肉の使い方が裸足と違ってきます。

 

スキー靴で歩くのと一緒です。

 

裸足で歩くときは、足指の付け根も曲がっていきますが、靴底が硬すぎると足指がまがりません。

 

ちなみに足指が曲がることでアーチが形作られ足が安定するので、足が不安定な状態で歩くことになり疲れやすくなります。

 

滑らかさがなくなり、足のどこかに負荷がかかり、傷ができたり痛くなってしまいます。

 

ではどのような靴底がよいのか。

 

踏み返しがある靴が良いでしょう。

 

踏み返しとは歩行時に片足で地面を蹴っていくときに、足指が曲がるときです。この曲がりが保障されているものが歩きやすいポイントになります。

 

では靴底のどこを見れば良いのか。

 

靴の裏をみて指側に横にラインが入っていて、手で容易に曲げられる構造になっているか見れば良いです。

 

もう一つポイントがあります。

 

靴を雑巾絞りのように軽く捻ってみましょう。

 

歩行中は足は少し捻りながら動きます。この動きは歩行中の足の安定に関係します。

 

まったく捻りのない靴では足の本来ある動きが阻害されていまいます。

 

硬すぎる靴は要注意です。

 

こどもの靴の選び方 その1

しっかり歩けるようになってきたし、そろそろ靴を新しく買い換えようかな。

 

どんな靴がいいかな?こどもの靴持って種類がいっぱいあってどれを選んでいいのかわからない。

 

せっかくならこの子に合った靴が欲しい。

 

という方向けに、靴の選び方についてお伝えします!

 

そもそも靴を履く理由ってご存知ですか?

 

足を守るためです。

 

はるか昔のご先祖様は靴なんか履いていません。なぜ履くようになったかというと、文明の発達とともに、足元が危険になってきたためです。

 

靴を履く前の生活は、土や草の上を歩き、釘や割れたビン、アツアツのアスファルトなんかありません。家も立てる必要もなく足に丸太が落ちてくることもないでしょう。なので大丈夫。

 

人間の足部は28個の骨でできており、周囲の筋肉とともにそれらが協調して歩くときの衝撃の吸収と推進力を生み出すよう機能します。

 

つまり裸足で歩いても足に支障は全くない構造であり、本来の人間の姿ということです。

 

足を守るための靴という意味であるなら、裸足に近い靴の方が本来の足のためにいいということになります。

 

足の発達でいうと、足やふくらはぎの筋肉の発達により土踏まずが形成されていきます。

 

足がガチガチに靴に守られていると足の筋肉を使う機会が少なくなる可能性がありますので、過剰に支持する必要はないでしょう。

 

ちなみに土踏まずは5歳くらいに形成されるので、小さい頃に土踏まずがないことをそこまで気にすることはないです。

 

こどもの足の骨は軟骨であり、いくらでも形を変えることができるので、足に合わない靴を履き続けると足の形が変わっていく可能性があるでしょう。

 

 

まとめ

靴に頼りすぎずに、足の動きを妨げないものが足の発達にとっていい靴になります。

脳性麻痺児の足がクロスになる理由

脳性麻痺は、生まれる前後に脳になんらかのダメージが加わったことによる全般的な発達の遅れがでる症状です。

 

脳には手足を動かす神経があり、そこがダメージを受けると自由に動かすことが難しくなります。

 

自由に動かせないと、手足を使うことを忘れてしまいます。

 

発達途上のこどもたちにとって、手足を使わずに成長するとどうなるか。

 

手足の運動発達は遅れていきます。そして手足以外を使って発達していきます。

 

足の発達が遅れてしまうと、足に意識がいかず勝手に足がピンと伸ばされてクロスしてしまいます。

 

これがクロスする理由です。

 

普通はお座りするときには絶対足の筋肉を使わざるを得ないのですが、足が自由に動かないと、お座りも難しくなってしまいます。

 

お座りが難しいと体幹の発達も遅れます。体幹がしっかりするには、足の運動が上手になることとおもいっきり身体を使って遊ぶことが必要なことです。

 

足の運動が上手になるには、とにかく自分から足を動かして遊ぶことです。自分で自分の足を触ってみたり、足でおもちゃを操作したり。

 

特に、おもいっきり身体を使って遊ぶ経験は、自由に身体を動かせない脳性麻痺をもったこどもこそ必要な運動になります。

 

こどもは遊びながら発達していきますので。

腹臥位の効果 うつ伏せで得られるもの

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腹臥位の効果

 

  • 換気血流比の改善
  • 上気道のクリアランス改善
  • 横隔膜の運動性改善
  • 誤嚥の予防
  • 排痰

 

背臥位で過ごす時間が多いと、下側肺の圧迫や横隔膜の高位化、誤嚥など呼吸器系への負担は増えますので、多様な姿勢を取ることが重要です。

 

特に自分で姿勢変換が難しい方は一定の姿勢でいることが多いので、姿勢のバリエーションを増やすことは重要です。

 

 

腹臥位をとる前に

  • 関節可動域のチェック
  • 姿勢保持に必要なクッションやタオルなど
  • 胃瘻部やカニューレへの配慮
  • 随意、不随意な運動のチェック
  • 酸素飽和度のチェック

 

 

腹臥位が取れない場合

  • 半腹臥位
  • 前もたれ座位

 

 

側臥位から前傾させた半腹臥位でも効果があります。

前にもたれるだけでも同様ですね。

 

 

腹臥位のリスク

  • 窒息
  • 介助中の骨折など

 

常に酸素飽和度、換気できているかをチェックします。

 

必ずしも腹臥位をとる必要はない。

 

腹臥位とればいいじゃん。と気安く声をかける人がいるかもしれませんが、無視して構いません。

 

行うのは介助者です。

腹臥位にセッティングするときの介助中の関節や骨への捻れや圧迫、頭部や四肢の位置関係への注意、関節拘縮があることで姿勢が複雑になるなど、介助者の精神的、身体的負担は大きいです。

 

腹臥位をとらなければならないと言った理由はどこにもなく、どういう効果が欲しいのかなぜ腹臥位をとるのか?を考えると、腹臥位でなくも同様の効果が得られる姿勢運動は見つかるはずです。

 

まとめ

腹臥位は呼吸器系の改善に向いているが、姿勢を作るのにリスクも伴うため、必ずしも腹臥位ではなく別の姿勢運動で対処できる。

座位保持装置の目的、効果、デメリットについて

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座位保持装置とはなにか?

一人で座ることが難しい子どもたちが安定して楽に座ることができる椅子です。

安定して座れるため、親も安心です。

オーダーメイドやレディメイドで子ども一人ひとりにあった椅子ですので、姿勢もバッチリです。

 

座位保持装置の目的

生活の中で安定して座る必要がある場面で使うことが目的です。

 

例えば、ごはんを食べる際に、姿勢が安定することで噛んだり飲み込んだりすることがスムーズになり、食事も楽しく安心して取れることができます。

 

学校の授業など長時間座らないといけない場合、座位が不安定なお子さんは座り続けることは難しいでしょう。座位保持装置に座ると、楽に長時間座ることができるため、集中して授業を受けることができます。

 

私たちが座るときはどんなときか。リラックスしてテレビを見るときにはソファに座ります。勉強するときは前傾姿勢になります。自発的に座ろうと思ったときにその目的に応じて座ることができる椅子が本来の目的でしょう。

 

このように目的には生活状況によって様々です。

 

 座位保持装置の種類

大きくモジュラータイプとモールドタイプに分けられます。

モジュラータイプは身体を支えるためにパッドなどを取り付けるタイプでセミオーダーなものになります。

 

モールドタイプは身体の形状に合わせて型を採って作るシートになるので、体にぴったりなものになります。

 

背中のシートをマジックベルトでたわみをつけることができる背張り調整機能のついた椅子もあります。

 

体温調整が難しいお子さんは、クールファンを取り付けられる椅子もあります。

必要性に応じてベルトの使用も検討していきます。

 このように座位保持装置の種類は多種多様です。

 

座位保持装置の効果

①手が使いやすくなる。

 姿勢が安定することによって手が使いやすくなるため、スプーンや箸といった物の操作が行いやすくなります。両手が空くのでおもちゃでたくさん遊ぶこともできます。

 

②コミュニケーションが取れる

 一人で座ることが難しいお子さんを座らせるのに後ろから支えている親が多いと思います。座位保持装置に座ることで、対面して関わることができます。

 子どもと目線を合わせコミュニケーションをとることができます。子どもの発達にとってとても素晴らしいメリットがあります。

 

③二次障害の予防

 重力によって体が傾いてしまうことをできるだけ防ぎます。側弯などの変形を遅らせることができます。

 不安定な姿勢だと、首、肩、腰などが過剰に緊張してしまい、身体が硬くなる可能性があります。座位保持装置に座ると安定するので無駄な緊張が減り、変に身体が硬くなることは予防できるでしょう。

 

④ 食事が楽になる

 一人で座ることが難しい子の食事介助は大変で、こどもも噛むことや飲み込むことがうまくできません。座位保持装置により介助が少なく誤嚥を予防することができます。

 

⑤発声や呼吸が楽になる

 安定した姿勢によって無駄な力が抜け、呼吸が楽になったり、それによって発声もしやすくなります。

 

座位保持装置のデメリット

①大きくて重い

 座位保持装置は一般的な椅子に比べて、大きくて重いです。安全性を確保するためにはしょうがないと思います。移動の際に持ち運びが不便になったりします。

 タイヤが着いたものや折り畳みができるものもあるので、使用場面を想定して選ぶと良いでしょう。

 大きさに関しては、思った以上に大きいため、実際に部屋に置いたときに意外と場所を取ることがあります。

 

②ついつい座らせすぎる

 寝ている姿勢が多かった子どもに座位保持装置に座らせることができると、良かれと思ってついつい座らせすぎてしまうことがあります。子どもを座らせてそのまま安心して目を離すこともあるかと思います。

 子どもにこの椅子に座ると親が離れていってしまう。一人寂しい思いをすることがないようにしてほしいと思います。

 

③過剰に身体を支えている

 良い姿勢を意識しすぎるあまり、良い姿勢しかとれないような椅子にしてしまうことがあります。

 身体が少し傾いた姿勢から一人で戻ることができる力があった場合、本来、子どもが持っている座る力(体幹などの筋肉)を発揮できない状態が続き、筋力が弱くなり、よけいに座ることが難しくなる可能性があります。

 子どもが一人できる能力を見極めて発揮できる椅子にすることがベストでしょう。

 

 

間違いだらけのストレッチ方法

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ストレッチというと正しい姿勢で呼吸を止めずにじっくりと、、というイメージをお持ちの方が多いと思います。

 

そういったイメージにとらわれることで、ストレッチは我慢するもの。しんどいもの。というネガティブなイメージになっているのではないでしょうか?

 

このようなイメージはストレッチの目的をちゃんと知れば変わります。

 

なので、ネガティブなイメージを吹き飛ばすべく、しんどくない本当のストレッチというものを紹介します。

 

ストレッチの目的と効果

ストレッチの目的は正しい姿勢ではない。ストレッチは軟部組織を伸長すること。対象はほぼ筋肉です。

 

つまり筋肉を伸長することだけを考えると、正しい姿勢うんぬんは考えなくてもいいのです。ちゃんと伸びてればオッケーなのです。

 

正しい姿勢でゆっくりと伸ばすことを意識すると呼吸も止まりやすいです。なかなか伸びないので頑張って姿勢を崩さないように伸ばそうとしていると、よけいに力が入ってしまう。そんなの意味ありません。

 

ストレッチの効果は様々あります。一般的なイメージは運動後の筋肉を伸ばし筋緊張を緩め循環を改善し筋疲労を取り除いたりすることです。他には痙性の軽減、拘縮の予防や痛みの軽減などあります。

 

運動前にもストレッチは大切です。ケガの予防やパフォーマンスにつながります。運動前のストレッチ方法は運動後とはまた違うので、次のストレッチの方法で記載します。

 

ストレッチの方法

例)太ももの裏のハムストリングを伸ばす目的の場合

 

床に座った長座の姿勢で膝が曲がらないように上半身を倒す。なかなか伸びない人にとっては、腰が痛くなりしんどいだけです。

 

正しい方法は、長座の姿勢で足の力を抜き軽く膝が曲がっている。膝は前を向いた状態に。そのまま上半身を倒す。膝が少し曲がっていても、ハムストリングはしっかり伸びていると思います。

 

姿勢が楽なので呼吸もしやすいですし、じっくりとストレッチすることができます。

 

上半身を起こして、もういちど倒すとさっきより倒せることに気づきます。膝もさっきより曲がらなくなっていることに気づきます。

 

これはハムストリングのストレッチになっています。なので膝を伸ばして身体を倒すという姿勢、動作は重要ではありません。

 

ほかの筋をストレッチする方法も同様で、目的は筋を伸長することを意識していれば、難しい姿勢をしなくても十分ストレッチになります。

機会があれば他の筋のストレッチ方法を紹介します。

 

最後に、運動前のストレッチですが、じっくり時間をかけるより、軽く反動をつけて伸ばす方が運動中のケガの予防やパフォーマンスに良いです。理由は筋の反応を高めるからです。

 

運動後はじっくりとストレッチしましょう。