脳性麻痺の筋力と運動能力、筋力トレーニングについて

f:id:ptemon:20171210221944j:plain

脳性麻痺の筋力特性

脳性麻痺は上位中枢からの調整がうまく働かないので、高閾値のα運動ニューロンの発火頻度の低下、運動単位の減少など生じており筋力低下が引き起こされます。上位中枢からの指令によってα運動ニューロンが動員されるため、筋力使えよ!と指令がなければ使われずに減少していくことになりますね。

筋線維組成ではTypeⅡ線維が減少しTypeⅠ線維の比率が高いといわれています。赤ちゃんの頃は組成は未分化のままであり運動経験によって筋線維組成が決まっていくそうです。運動経験が未熟な脳性麻痺児は運動できる環境かによって筋力発揮がしやすくなるかどうかが決まりそうですね。

つまり高出力の筋力発揮ができないため、筋力は低下するということになります。大人も子どもも一緒で使わなければ筋力は落ちる。その通りです。

筋力と運動能力

では筋力と運動発達はどういう関係があるか。結論から言えばGMFMやPEDIのスコアが高い児は筋力は高いそうです。筋力が運動に直結することは言わずと知れたことでありますが、ただ筋力トレーニングをすればいいものではないです。

 

ptemon.hatenablog.com

ptemon.hatenablog.com

 

筋力トレーニングの原則に特異性の原則があります。大腿四頭筋の筋力トレーニングでパテラセッティングがありますが、このトレーニングを行うと大腿四頭筋の膝最終伸展域でしか筋力増強が得られません。ある動作での筋力増強はその動作での筋力増強は得られるが、それ以外の動作による筋力増強の効果は低くなります。過負荷の原則と特異性の原則を合わせながら行うと効果的です。

子どもたちに立ち上がりの筋力トレーニングを行っても、ふだんから立ち上がる経験がないと筋力増強は見込めず動作の獲得にもつながりません。こどもたちは運動経験が少ないため、普段から運動する環境を作りながらそれらの動作の筋力を増強することになります。

筋力増強方法について

筋力は中枢性の要因が大事です。筋力を発揮しようにも筋力を発揮しようとする気持ちがなければ筋力増強が得られません。そのため、立位なら立位、歩行なら歩行とある動作に対する筋力増強を行うための方針としては、できるだけ介助が少ない状態で子ども自身が自発的に体重を支え、動かす経験が必要になります。介助しすぎでは筋力はそれ以上向上することは難しいでしょう。上記に書きましたが、普段から日常生活動作のなかで自分の力で立位をとるなど習慣を持つことも筋力増強には重要です。小さいころから積極的に自発的で多様な運動経験をすることで、筋力増強や動作獲得につながるのではないでしょうか。

筋力評価

筋力の評価がどうするのかということですが、MMTができる子は行います。多少選択的な運動が難しかったとしても、同様の動きで比較することで筋力はみることはできます。周径を測ることも筋のボリュームの増減からみれるので経時的に評価していくことはできます。もちろん他の情報との解釈をしつつですが。動作からも筋力を見れます。動作中に介助するとどこまでできるか、介助なくすとどこまでできるかを評価できます。また求心性、等尺性、遠心性収縮で分けて動作中にどの収縮様式が弱いかでも評価できます。