小児理学療法に関わる子どもたちの身体ケア
「学校でストレッチや運動をさせてあげたい」「どんなリハビリをしているのか知りたい」「家でもリハビリ頑張りたい」
身体の症状にとらわれないその子のための支援とは何かを考えてみます。
脳性麻痺などの子どもたちと関わっている職種はリハビリスタッフ以外でもたくさんいらっしゃいます。学校やデイサービス、病院施設などさまざまな場所で支援されています。
皆この子にとって有益な支援を提供してあげたいといった前向きな気持ちでいつも接していると思います。
リハビリスタッフもそうです。
子どもにとって本当に必要なものは何か。を常に考えながら取り組んでいます。医療は日々進歩しますから、できるだけその子にあった最良のものを提供してあげたいと思って取り組んでいます。
それを踏まえて以下の内容を参照ください。
以前に書きましたが、脳性麻痺児者の身体的な将来像では、活動量が少なくなり筋肉や関節が硬くなって変形など生じてきます。そして余計に動きにくくなります。
以前は介助で歩くことができた子が、徐々に車椅子やバギーが効率的な移動手段となり、乗り移る時は抱っこで行い、立つ歩く頻度は減る。
この環境が続くと立つ力や歩く力は弱くなり成長に筋力が追いつかなくなります。
これは就学後、小学校高学年から中学高校にかけての体格の変化が大きい成長期に起こりやすいです。
つまり、その時期にしっかりと身体を動かしていないと、成長に身体が追いつかなくなり、運動機能が低下してしまいます。
活動量を維持するためにどうしたら良いか。やはり学校などの生活の場で運動機会を作ることだと思います。
できれば毎日行えることで。
例えば、介助で立てる能力があるお子さんが車椅子に座っていたとします。座っているので膝は曲がった状態です。足の筋肉の緊張が高く踵は浮いています。
この姿勢を続けるとどうなるか。膝は伸びなくなり足首は踵が降りずに硬くなり立たせようにも立てなくなります。
そうならないためにストレッチを行い、関節を柔らかくすることを考えると思います。
しかしここで言いたいのは、ストレッチの手技ではなく、介助でもいいので毎日立つ機会を持たせることで、足を着いて自ら膝を伸ばす動きをさせてあげるということです。
私たちもストレッチを怠ってるといつのまにか硬くなっていることがあるとおもいます。それと同じように、立つときの関節の動きを出してあげないといつのまにか硬くなってしまいます。
生活の中に立つ動作をひとつ組み込むだけでも筋力の維持や関節が硬くならないよう予防するためのケアが含まれています。
車椅子や座位保持装置からそのまま抱っこするのではなく、一旦、立ち上がって立つという動きを挟むだけでもいいと思います。
立つ動作を続けると、介助歩行も容易になってくる可能性だってあります。そうすると、本人の活動範囲も増え、介助者の負担軽減にもなります。
リハビリで獲得された運動機能を維持発展させるのは、リハビリ以外での生活の場だと思います。
最後になります。
ある方が言っていました。
「いまベッドに這い上がることができるのは、小さい頃に掘りごたつを何度も出たり入ったりして遊んでいたからだ。だから大人になって自分で生活するようになってから這い上がれるようになっていたのは良かった」と
能力にはもちろん個人差はあります。しかし、生活の中にできる能力を発揮し続けていくことの大切さが伝わってきます。
最後まで読んでいただきありがとうございました。