座位保持装置の目的、効果、デメリットについて
座位保持装置とはなにか?
一人で座ることが難しい子どもたちが安定して楽に座ることができる椅子です。
安定して座れるため、親も安心です。
オーダーメイドやレディメイドで子ども一人ひとりにあった椅子ですので、姿勢もバッチリです。
座位保持装置の目的
生活の中で安定して座る必要がある場面で使うことが目的です。
例えば、ごはんを食べる際に、姿勢が安定することで噛んだり飲み込んだりすることがスムーズになり、食事も楽しく安心して取れることができます。
学校の授業など長時間座らないといけない場合、座位が不安定なお子さんは座り続けることは難しいでしょう。座位保持装置に座ると、楽に長時間座ることができるため、集中して授業を受けることができます。
私たちが座るときはどんなときか。リラックスしてテレビを見るときにはソファに座ります。勉強するときは前傾姿勢になります。自発的に座ろうと思ったときにその目的に応じて座ることができる椅子が本来の目的でしょう。
このように目的には生活状況によって様々です。
座位保持装置の種類
大きくモジュラータイプとモールドタイプに分けられます。
モジュラータイプは身体を支えるためにパッドなどを取り付けるタイプでセミオーダーなものになります。
モールドタイプは身体の形状に合わせて型を採って作るシートになるので、体にぴったりなものになります。
背中のシートをマジックベルトでたわみをつけることができる背張り調整機能のついた椅子もあります。
体温調整が難しいお子さんは、クールファンを取り付けられる椅子もあります。
必要性に応じてベルトの使用も検討していきます。
このように座位保持装置の種類は多種多様です。
座位保持装置の効果
①手が使いやすくなる。
姿勢が安定することによって手が使いやすくなるため、スプーンや箸といった物の操作が行いやすくなります。両手が空くのでおもちゃでたくさん遊ぶこともできます。
②コミュニケーションが取れる
一人で座ることが難しいお子さんを座らせるのに後ろから支えている親が多いと思います。座位保持装置に座ることで、対面して関わることができます。
子どもと目線を合わせコミュニケーションをとることができます。子どもの発達にとってとても素晴らしいメリットがあります。
③二次障害の予防
重力によって体が傾いてしまうことをできるだけ防ぎます。側弯などの変形を遅らせることができます。
不安定な姿勢だと、首、肩、腰などが過剰に緊張してしまい、身体が硬くなる可能性があります。座位保持装置に座ると安定するので無駄な緊張が減り、変に身体が硬くなることは予防できるでしょう。
④ 食事が楽になる
一人で座ることが難しい子の食事介助は大変で、こどもも噛むことや飲み込むことがうまくできません。座位保持装置により介助が少なく誤嚥を予防することができます。
⑤発声や呼吸が楽になる
安定した姿勢によって無駄な力が抜け、呼吸が楽になったり、それによって発声もしやすくなります。
座位保持装置のデメリット
①大きくて重い
座位保持装置は一般的な椅子に比べて、大きくて重いです。安全性を確保するためにはしょうがないと思います。移動の際に持ち運びが不便になったりします。
タイヤが着いたものや折り畳みができるものもあるので、使用場面を想定して選ぶと良いでしょう。
大きさに関しては、思った以上に大きいため、実際に部屋に置いたときに意外と場所を取ることがあります。
②ついつい座らせすぎる
寝ている姿勢が多かった子どもに座位保持装置に座らせることができると、良かれと思ってついつい座らせすぎてしまうことがあります。子どもを座らせてそのまま安心して目を離すこともあるかと思います。
子どもにこの椅子に座ると親が離れていってしまう。一人寂しい思いをすることがないようにしてほしいと思います。
③過剰に身体を支えている
良い姿勢を意識しすぎるあまり、良い姿勢しかとれないような椅子にしてしまうことがあります。
身体が少し傾いた姿勢から一人で戻ることができる力があった場合、本来、子どもが持っている座る力(体幹などの筋肉)を発揮できない状態が続き、筋力が弱くなり、よけいに座ることが難しくなる可能性があります。
子どもが一人できる能力を見極めて発揮できる椅子にすることがベストでしょう。