脳性麻痺のバランス評価① 臥位、座位

f:id:ptemon:20180603224445j:image

「まだ座位で動揺がみられる」「立位が不安定」 「歩行時の姿勢制御能力が低い」

 

臨床上、よく耳にする子どもの臨床像ですが、上記は表現の違いはあるけれども結局バランス能力が低いということですね。

 

では、仮にバランス能力の向上を目標にあげるとして、結果、座位で動揺が減ってバランスが向上した。立位の安定性が向上した。歩行時の姿勢制御が向上した。

 

という風には主観的には感じるかもしれませんが、客観的にはいまひとつ。どのくらいバランスが良くなったの?となるでしょう。

 

そのためには具体的な指標で評価する必要があります。

 

各姿勢毎にバランス能力をどのようにみていくか、評価することはなにかをご紹介していきます。

 

臥位レベル

腹臥位

このレベルではヘッドコントロールと支持機能をみます。ヘッドアップはどの高さで何秒可能なのか、回旋できるのか。

 

支持機能では肘支持、手支持で何秒支持できるのか。上肢のつく位置は肩より前なのか、後ろなのか。一側上肢の挙上の高さや時間、課題遂行はどうなのか。

 

四つ這い支持は何秒できるのか、股関節の内外転の位置はどうか。

 

四つ這い移動では移動距離や時間、一側上肢の挙上で三点支持を作れているのか、階段や段差はどのくらい登れるのかなど。

 

背臥位

 ヘッドコントロールと四肢体幹の空間コントロールをみます。ヘッドコントロールでは、正中位に保持できるか、回旋できるのか。

 

上肢のリーチはどの程度、範囲できるのか、正中線を交差できるのか。両手を同時に上げれるのか。

 

下肢の挙上はできるのか、どの範囲まで可能なのか、骨盤の動きは見られるのか。

 

側臥位

側臥位では、姿勢保持と上下肢の動きがどの範囲まで見られるのか、同時に寝返ってしまうのか姿勢を保持したままなのか。

 

座位レベル

保護伸展が前側後みられるのか。床座位、端座位など各座位姿勢で何秒何分保持できるのか。上肢支持や足底接地の有無での違いはどうか。

 

上肢支持ありの場合は一側上肢をどのくらい挙上して時間はどれくらい可能なのか。両手を離してどれくらい可能なのか。

 

足底接地の場合は、片脚が挙げられるのか、時間はどれくらいなのか。

 

主にリーチの伴う体幹と骨盤の前後傾、側方移動や後方回旋による座位保持能力はどうなのか。

 

臨床評価指標にFanctional Balance scale:FBS(またはBerg Balance scale:BBS)があります。

 

座位保持や立位、立ち上がり、片脚立ちなど全部で14項目の検査がある総合的なバランス評価です。

 

この中の座位保持の検査項目から点数を出して変化をみていくのも座位バランス評価の指標として使えます。もちろん総合的なバランス評価として使うこともできます。

 

 

記録

時間、距離、運動範囲など具体的な指標を用いることで、判定がわかりやすくなります。

 

また、姿勢や動作の獲得の際には、運動の成熟具合が現れるため、その変化として、基底面の広さだったり、重心や圧中心の位置、それに伴うフィードフォワード制御の有無なども変化として捉えていくことが必要です。

 

 

NXET  立位、歩行