脳性麻痺のバランス評価② 膝立ち、立位、歩行

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膝立ち

立位の前に膝立ちも評価ができます。膝立ち時間は何秒か、股関節の角度はどのくらいか。上肢帯の位置はどうなっているのか。

 

膝立ちで歩けるのか、歩けるなら何歩いけるのか、手引きは必要なのか。

 

片膝立ちは高度なバランスが要求される姿勢ですが、片脚立ちと同様に何秒保持できるのか等みていくことができます。

 

立位

立位においても静止立位保持ができるのか、介助量はどの程度なのか、何秒何分可能なのか。

 

開眼と閉眼での違いはあるのか。四肢体幹の関節運動は重心移動に対してどのような戦略を取っているのか。

 

重心を左右に移すことができるのか、垂直方向へのコントロールはできるのか、前後はどうか。

 

しゃがんだり、後方に振り返ったり、上方の物に向かってリーチしたりできるのか。

 

つま先立ちや閉脚立位、タンデム肢位、ステップ肢位等の基底面の違いでの保持はどうなっているのか。

片脚立位も含めどのくらいの時間保持できるのか。

 

臨床評価指標として前回のFBSの立位の項目があります。他には動的な立位バランス評価としてFanctional Reach Test(FRT)がありますので転倒リスクや治療の効果判定に使用するとよいでしょう。

 

 

歩行

つたい歩きレベルでは角曲がりや壁つたい歩き、渡り歩きができるのかなどつたい歩きのレベルを評価することができます。

 

介助歩行であれば両手引き、片手引きなどどの程度の介助量で歩けるのか。何メートル、何分などのパラメータも同時にあると良いです。

 

独歩可能なら何歩、何メートル、何分などの量的評価とワイドベースハイガードのように質的評価をみます。

 

歩行は前進以外にも側方や後方にもステップします。ステップ反応が出る方向や、後方や側方に歩行はできるのかをみると歩行の習熟度がわかります。

 

応用歩行は狭い道や凸凹道、坂道などの不整地や物を持っての歩行など様々な歩行条件で評価することができます。

 

臨床評価指標では10m歩行速度や最大歩行速度、6分間歩行距離といったもので評価できます。

 

またTimed Up and Go Test(TUG)では転倒リスクや立ち座り、方向転換など応用的に評価できます。

 

歩行は常に重心が動き、歩行開始、停止、方向転換などダイナミックな圧中心の変動が必要な動作になります。

 

そのためダイナミックな動きに合わせた四肢体幹の関節運動を歩行相で評価します。いわゆる正常歩行を参考に歩行効率を考えていきます。

 

立脚期では床反力に応じた下肢体幹の関節運動はどうなのか。支持機能として安定しているのか。また推進機能として使えているのか。

 

遊脚期ではクリアランスと下肢関節運動を観察して初期接地時にどのようなアライメントでスタートするのか。

 

 

以上、ざっくりとバランス評価についてご紹介しました。もちろんこれ以外の評価はありますが、こんなイメージでみていくと、バランスの何が、が比較できるのではないでしょうか。