脳性麻痺児の姿勢改善には外的参照が有利

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「上向かない!顎を引いて」「さあ膝を伸ばしてピシっと!」「お腹を使って身体を起こして!」

 

「そうそう!いいよ!それそれ!」

 

など、誰が得するのかわからないような言葉掛けで姿勢を正そうとしている場面をしばしば目にします。非常に残念です。

 

子どもはともかく私たち大人はそのような声かけで「こうかな?あーかな?」といろいろ身体を使って修正することができます。

 

子どもの場合はどうでしょう?

体の各部位を意識してかつその部位を単独で動かす。しかも難しい姿勢を保持しながら。

 

そもそも声かけで身体を動かさせようとすること自体ナンセンスです。

 

子どもたちの感覚の発達は5、6歳までは視覚優位での姿勢制御と言われています。

5、6歳以降は体性感覚での姿勢制御を行なえるようになっていきます。

 

運動発達をみてもその頃に閉眼での立位保持が獲得できるようになっています。

 

このことから、子どもたちにとって、声かけによって頭の中で身体を意識して姿勢を保つことは難しいと言えます。

 

発達段階によって言語理解が伴わなければ声かけは通らないですけど。

 

では子どもたちに姿勢や運動を行わさせるにはどのような方法がいいのか?

それは外的な参照を取り入れることが必要です。

 

外的参照と内的参照というものがあります。

外的とは外部からの情報から、すなわち視覚によって得られる情報です。

 

内的とはその反対で、内部からの情報から、すなわち脳内でイメージした情報です。

 

子どもたちは往々にして周囲にある物や人に対しての情報を素早く察知して興味関心を得ます。

ジャングルジムがあれば登り、トンネルがあればくぐります。そして知らない人をジロジロみます。

 

外的参照を元に動き続けるのが子どもたちです。

 

「どのおもちゃにする?好きなの取ってね」と子どもに選ばせて取らせることにしても、例えば立位練習の際に膝を伸ばしたいなら高い位置で提示したら良いはずです。

 

おもちゃで遊んでいる際に、顎が上がるなら、顎の下の方に提示すると良いはずです。

 

視覚的な情報以外にも、ものを使った外的参照もあります。

 

例えば先ほどの立位保持でいうならば、お腹あたりに台が当たるように設定すれば、そこを支点に体幹の伸展活動を行いやすくできます。

 

バルーンに背もたれで立つと体幹や下肢は伸展位で姿勢を保とうとします。

 

 

どうやったら姿勢を良くできるのか。

声かけで行おうとしても、本人は理解できず、徒手的に誘導したとしても本人の意思で行なった動きではないので、本人の脳内でのイメージには残りにくいでしょう。

 

外部からの情報をもとに環境を設定すると自然と子どもたちもそれに合わせようと姿勢を作ることになるでしょう。