脳性麻痺児は将来歩けるようになるのか?
脳性麻痺と診断されてから、この子の将来を考える中で、まず歩けるようになるのか不安になってきます。
もし歩くことができなかったら、、、歩けるようになるにはどうしたらいいのか、、、。
結論からいうと今は歩けるようになるのかどうかは誰にもわからないです。
子どもの発達メカニズムは完全に解明されていないのが現状です。脳損傷の程度もそれぞれありますし、必ずしも脳の状態から運動が決まるわけでもないです。脳性麻痺の症状は多岐に渡るので運動面以外の機能を含めた全体的な発達は複雑になっています。
それでも私たちは少しでも子どもたちとその家族の将来のために、あらゆる手段を用いて運動の獲得を目指します。
その子にとって本当にいいものとはなにかを考えて取り組んでいます。
少しでも参考になればいいですが、脳性麻痺の評価のなかで運動発達の将来的な経過を紹介したいと思います。
脳性麻痺児の発達予後
GMFCSという評価があります。これは過去に多くの脳性麻痺の方の運動発達を追っていき、年齢ごとにその子ができる運動レベルを見ていったものです。
それを元に、現在の年齢と運動発達から将来できるであろう運動が予測できるようになっています。
これはあくまで統計的な結果であるため、必ずしもすべての方に当てはまるわけではないです。
この評価では2歳までに床上座位ができるようになり、2~4歳の間に交互性の四つ這い移動ができるようになれば4~6歳で独歩を獲得する可能性があります。
また、2~4歳で交互性ではない四つ這いや割座で座れたりすると4~6歳で手に持つ歩行器で歩くことができる可能性があります。
なぜか、というところですが、専門家なら予測はつきます。
ほかの指標もありますが、だいたい似たような運動の獲得になっています。
なので、早期から運動獲得にむけて練習に取り組みます。
ある運動の獲得時期が遅れたからといって諦める必要はありません。人によって獲得時期は変わってきます。
それに運動発達は学習されていきます。
学習というのは、今持っている運動能力を使って新たな運動を獲得することです。学習は大人になってもできるくらいです。
学習するためには、これまでどんな運動を経験してきたかが問われます。
自分で移動する経験は積んできたのか?
手足で支える経験は積んできたのか?
自分から進んで手を伸ばしたり遊ぶことはできたのか?
月齢に応じた運動の経験は大切だと思います。自分たちでうまく体をコントロールすることができない子どもたちにとって、本来経験していたであろう運動を経験することはできないので学習は進みません。
ある運動や姿勢を経験するには助けが必要です。
仮に独歩が獲得できなくても、ものを伝って歩くだとか、手を繋いで歩くだとか、自分でつかまり立ちができるだとか、車椅子に乗り移れるだとか、いろいろな運動獲得の可能性はあります。
歩けるようになるかは確証はありませんが、諦めずに運動発達を伸ばしていけるように取り組むことは大切だと思います。