脳性麻痺の評価 GMFCSと臨床での使い方 予後予測や治療目標
「GMFCSって子どもの状態を伝えるための手段?」「分類するだけ?臨床的にどのように使っていけばいいの?」
脳性麻痺児の評価の1つにGMFCSという評価法があります。
GMFCS
GMFCS: gross motor function classification system
粗大運動能力分類システム
脳性麻痺の重症度を5段階に分類する評価です。
レベルⅠ:制限なしに歩く
レベルⅡ:制限を伴って歩く
レベルⅢ:手に持つ移動器具を使用して歩く
レベルⅣ:制限を伴って自力移動、電動の移動手段を使用しても良い
レベルⅤ:手動車椅子で移送される
子どもの能力を見て5段階に分けることができます。
各レベル毎に年齢別でも分けられています。
0~2歳まで
2~4歳まで
4~6歳まで
6~12歳まで
12~18歳まで
今の年齢でどのくらいの能力があるのかを5段階で評価することになります。
例)5歳で手に持つ歩行器で歩けていればレベルⅢ
7歳で寝返りやずり這いで移動していればⅣ
14歳でほとんどの生活を車いすで移送されていればⅤ
粗大運動の予後予測
年齢とレベルを追っていくと今後の粗大運動の予後予測ができます。
2歳までに床上で座位が可能であれば、4歳以降に独歩が獲得する可能性が高い。同じく2~4歳までに交互性の四つ這いができるようになることも独歩獲得の可能性が高い。(レベルⅡ)
レベルⅢでは2~4歳でバニーホップや割座で座れたりすると4~6歳で手に持つ歩行器で歩くことができると見積もることができます。
臨床での使い方
GMFCSを臨床的にどのように使っていくのか。
まずその子の粗大運動を見て現在のレベルとその予後をざっと考えてみます。おそらく数年後までにはこの運動ができるであろうと予測がつくと思います。そして今の治療目標を考えていきます。
2歳未満のお子さんであれば、独歩獲得を最大目標にしたいので床上座位の獲得のために治療プログラムを組むと思います。さらに2~4歳までには交互性の四つ這い獲得にむけて寝返りやずり這いといった移動手段の獲得も早期から練習すると思います。せめて一人で手に持つ歩行器で歩けるまで、、と思うなら今何を練習し獲得していかないといけないのかGMFCSでわかると思います。
しかし、GMFCSで予後が完全に決まっているかは定かではありません。あくまで統計であり、その子が持っている能力がきちんと発揮できているのかも評価していかないと潜在能力を見落としてしまいます。
特に6歳以降では粗大運動発達がプラトーに見積もられており、さらに成長や環境により運動機能が低下する可能性があります。そのため治療内容は今のレベルより1段階高いレベルを見越してプログラムを組むことや現在の能力を維持するための環境を考えることも必要だと思います。
理学療法士として、対象となる子の運動を変えたいと思うのは当たり前だと思います。だからGMFCSで決められたレールに沿うのではなくより高いレベルを目標にしていく気持ちは大切だと思います。
読んでいただきありがとうございました。